電波反射器の基本設計

 「だいちの星座」を描くには、電波反射器が重要な役割を果たします。

 私たちが電波反射器と呼ぶ道具は人工衛星を利用した地球観測の分野ではCRと呼ばれ、観測システムの較正を目的として日常的な業務で利用されています。「CR」と聞くと、パチンコを想像する人もいるかもしれませんが、Corner Reflector(コーナ・リフレクタ)の略で、箱の角の様な構造に電波を当てて正反射させることからこの名称が使われています。CRは平らな板状の金属を垂直に3面合わせた形をしており、正しい方位角に合わせて地上に配置し人工衛星や宇宙船、航空機等から送られてくる電波を反射させる役割があります。反射した電波がセンサーが搭載された人工衛星等に戻ることで地上を観測できるというわけです。

 「だいちの星座」ではこれまでに様々な種類の電波反射器(=CR)が製作されましたが、中でも私たちが「金沢14式D型」(通称「金沢型」)と呼んでいる電波反射器が最も多く製作され使用されてきました。この金沢型の電波反射器は、

 

・荒天時に長時間配置した場合でも、風や雨に対する耐性が維持される

・金網と塩ビパイプといった世界中で入手可能な材料を使用

・運搬、保管、加工が容易で子供からシニアまで安全な工作が可能

 

といった観点で設計され、反射面の大きさや金網の網目の大きさ等については「だいち2号」の利用に最適化されています。

 「だいちの星座」で使用された電波反射器は、全て参加者によって手作りで製作されてきました。人工衛星の較正に使用されるCRとは精度は異なりますが、「だいちの星座」で製作されてきた電波反射器は手作りとは思えないほど毎回健闘し、私たちを驚かしてきました。これまでに配置された金沢型の電波反射器はGPSで確認する限りそれら全てが「だいち2号」から観測されています。

 金沢型の電波反射器は塩ビパイプ製のフレームに金網を張って面を形成しています。塩ビパイプを使うアイディアは2014年に金沢美術工芸大学大学院修士課程の学生であった吉田勘汰さんのもので、その後、独立した3面を組み合わせる「金沢14式D型」へと発展していきました。「だいちの星座」で使用してきた電波反射器が実験によって改良されて現在の形となった過程については別にご紹介したいと思います。

 

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人工衛星の較正等に利用されるCR

 

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「だいちの星座」用電波反射器(金沢14式D型)

 

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電波反射器を製作中の様子

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「だいちの星座」用電波反射器(金沢14式D型)の設計図