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人間リフレクタ

 

 あなたが「だいちの星座」に参加して<人間リフレクタ>となれば、「だいち2号」が人一人を宇宙から観測し、地上絵にその存在が刻まれるかもしれません。

 ある対象に電波が当たり、その入射角に向けて戻る波を後方散乱と呼びます。電波を利用した地球観測の分野では後方散乱が大きい特性を持った形が知られており、例えば、大きな球、円板、長方形板、円柱、方形三面コーナリフレクタ(「だいちの星座」で作られてきた電波反射器)、三角三面コーナリフレクタ、二面コーナリフレクタ、があります。

『レーダポーラリメトリの基礎と応用―偏波を用いたレーダリモートセンシング』/山口 芳雄/p.49

 人間リフレクタとは、アルミ蒸着シート(またはアルミ箔)を使い、人がそれを纏ったり手で持ったりして形を固定することで、特殊な器具を使わずに人そのものが電波反射器となって大きな後方散乱を作り出そうとする試みです。これまで「だいちの星座」では「たねがしま座」「つくば座・もりや座」「かがやき星団」「いばらきけんぽく座」「よっかい座」などの各会場にて参加者らによって人間リフレクタが試みられてきました。「だいちの星座」各作品には数多くの人達が「星」となって地上絵に描き出されています。

 私たちは、人工衛星を利用した「だいちの星座」の活動が人の社会認識を変化させる機能を備えたツールであることを、人間リフレクタ参加者らの姿が象徴しているのではないかと考えています。「だいちの星座」の撮像会場では、子供だけではなく幅広い年齢層の多くの人々が人間リフレクタとなって参加することを望み、人工衛星が地上の観測を行う可能性の高い2分程度の間、見えない人工衛星に向かって一斉にポーズをとります。人間リフレクタは、参加者らに地球と人一人を直接繋ぐような社会認識を与え、撮像後の安堵と共に参加者同士で交わされる短い言葉によって新たな社会認識が共有されていった様子が、記録映像や事後のアンケートから読み取ることができます。

 人間リフレクタの精度はまだ高いとは言えませんが、素材やポーズ、器具などを工夫して、「だいち2号」で人間そのものを観測できるレベルに高め、「だいちの星座」を地球と人一人が繋がる実感が得られるツールとして育てていきたいと思っています。 

 

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「人間リフレクタ実験」(2014年10月8日/金沢美術工芸大学グラウンド)

 

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「人間リフレクタ実験」結果

 

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「人間リフレクタ実験」にて最も電波反射の成績が良かったポーズ

 

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人間リフレクタの衣装を纏った「よっかいち座」参加者

(撮影:四日市市立博物館)

(2016年8月21日/四日市大学グラウンド/四日市こども科学セミナー)