写真としての「だいちの星座」

 写真の定義に光とレンズが不可欠だということであれば「だいちの星座」は写真ではありません。しかし、少なくとも何らかの電磁波が関係し、ある像を持続させているものを広義の写真と呼ぶのであれば、Lバンドの電波を利用したレーダによって撮像された人工衛星画像を元に制作された「だいちの星座」は写真である可能性があります。 

 「だいちの星座」を制作する元となる写真、即ち「だいち2号」の観測画像の著作者は宇宙航空研究開発機構です。「だいち2号」の画像が公開される場合「©JAXA」が表記されます。観測データはJAXAのデータベースで保管・管理され、解析された画像はプロダクトとしてシーンIDや撮像時刻・エリアなど様々な条件を指定することで検索することが可能で、有償または無償で利用可能なものが少なくありません。

 「だいちの星座」の活動では「だいち2号」に自らが制作した電波反射器を観測させますが、成功すればこの衛星画像にはそのときに描いた「だいちの星座」を構成する〈1等星〉が、JAXAによって恒久的にアーカイヴされることを意味しています。

 写真として見た「だいちの星座」について考えるために、「だいちの星座」の制作を雑誌の編集過程に例えてみましょう。その雑誌にはある町で活躍する人を紹介するページがあるとします。この例え話の最後に出来上がる雑誌全体が「だいちの星座」であり、各ページが「たねがしま座」「つくば座・もりや座」「いばらきけんぽく座」等と考えてください。

 「だいちの星座」の作者である鈴木は、この例え話の中で、カメラの持ち主でもなければシャッターを押す人でもありません。強いて言えば、活躍する人のポートレート撮影を依頼した雑誌の編集者でしょうか。モデルを依頼して、カメラマンに写真を撮ってもらいます。私は写真を焼くためのネガを持っていません。著作者であるカメラマンのJAXAにネガを現像してもらい、掲載する像の元となる写真を届けてもらいます。JAXAのスタジオには「だいちの星座」の作者である大木さんが働いていて、後に編集がし易いように写真を整理してくれています。「だいちの星座」の編集室では大木さんが整理した写真をもとに、モデルさんの活躍する姿を強調したり、必要の無い背景を切り取って見えなくしたりします。町で活躍するモデルさんについて取材した日の様子や、モデルさんと関わる周囲の人々の様子などを文章や地図、小さな写真やインタビューにまとめと同じページに掲載します。

 以上の例え話では、町で活躍するモデルさんは電波反射器のことで、編集者が鈴木、大木さんは写真スタジオで働く人として登場してもらいました。だいちの星座の参加者は差詰め電波反射器さんを育てたり、その周辺で電波反射器をよく知る人達としてインタビューや写真で紹介されている様子を想像してみてください。

 「だいちの星座」は、電波反射器を通じて町の様子を伝えるポートレートのように機能する写真なのではないかと考えています。

 因みに、アクリルマウントされた「だいちの星座」作品は写真スタジオにて印画紙出力されていて、プリンター出力よりも彩度が高く黒も深く仕上げていただいてます。